2024年
11月29日(金)〜12月25日(水)予定
BLUE SQUARE YOTSUYA
ずっと、ずっと、ライト兄弟のことが気になっていました。
1903年に成し遂げた世界初の動力有人飛行という夢の産物は、1911年に開戦した第一次世界大戦で偵察機として、やがて爆撃機として、急速な進化を遂げました。
夢を叶える長い時間と、夢が消えていく短い時間に、漠然と興味を持っていたのです。
ふとしたことで、弟オーヴィル・ライトのインタビュー記事を読んだ時、その興味は「これを舞台作品に、ミュージカルにしたい」という強い思いに変わりました。
兄ウィルバーを早くに亡くし、飛行業界を退き、二つの世界大戦を見届けた後でも、彼は、「飛行機は平和に貢献する機械」だと語っていたのです。
このインタビューの向こうにある、彼の本意を知りたいと強く願い、わたしは、アメリカに飛んでライト兄弟に出会う旅をし、未翻訳の資料を集めました。
ライト兄弟は生涯牧師の息子として生きました。
どんなに目標に追われていても、安息日は仕事を休み、どんなに大切な展覧飛行を控えていても飛びませんでした。
彼らは、一人でいる時でも、自分たちの仕事を"I"ではなく"WE"で語りました。二人だから成し遂げられた夢。その兄弟愛と絆は、類を見ない程深いものでした。
そして、小さな街に開いた自転車屋の稼ぎだけで、歴史を動かす発明をした彼らの成功譚は夢と創意、喜びと輝きに溢れ、その後の権利を巡る徒労と絶望は、想像を超えて苛酷でした。
妹キャサリンは、非常に進歩的な女性でしたが、巨大な兄二人を支える人生に徹しました。
この光と影を、史実に基づいた大胆なフィクションとして、
音楽家森大輔さんとミュージカル化します。
登場人物はたった三人。
兄を、上口さん、上川さん、百名さんが。
弟を、工藤さん、DIONさんが。鈴木さんは、兄と弟両役を。
妹は、門田さん、福室さん、山﨑さんが演じます。
スタッフも、俳優も、挑戦ばかりの新作ミュージカル。
小さな劇場からの初飛行に、
皆様のご搭乗をお待ちしております。
石丸さち子